こんなのどう

すべての価値あるものは
たくさんの幸せの時を通り過ぎ
悲しみの海に流れて行く
ひんやりとした冷たい海水は
追い求めて止まない心を鎮めてくれる
小さな 風にゆれる草花よ
悲しみの海から起った、悲しみの雨を吸って
その命を価値あるものに代えておくれ
生きる素晴らしさを見せつけておくれ
けれども透き通っているために
何もかも見えなくしてしまうのでは
美しさもあり得ない。
毒でも良いから飾ってみせて
恐ろしい、致命的な色で

致命的な色も宇宙の中心としての輝きも
その役目を終え、記憶の中の形として
新しいものを拒みつづける。
記憶は遺伝子の進化をとめる
けれども新しい悲しみがうまれなければ
新しい喜びも生まれず
役にたたない記憶は恨めしく消えて行き
遺伝子は解体される。
悲しみは悪ではない
喜びは善ではない
その逆でも無い
喜びは山の上にあり
悲しみは海の底にある。